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ピアノ購入

【番外編】私のピアノ人生②ピアノ購入をめぐる母の想い

今日は春一番が吹いたとか✾
まちなかの梅の木が満開になっていたり、少しずつ春の息吹を感じるこの頃です。

さて、前回からお届けしている私のピアノ人生シリーズ。

今日はピアノ購入についてのお話をお届けします。ピアノ購入については教室の内外を問わず相談される事が多い案件のひとつです。以前、ブログにも記載した事がありますがピアノの購入については、環境や予算が大いに影響しますので他の習い事に比べてハードルが高くなっているひとつとも考えられます。私の子供時代と今のお子さんとでは社会の移り変わりも大きく変わっているので参考になるかは分かりませんが、あくまで自分のケースとして書きます。

私は、ほぼピアノを習うのと同時にアップライトピアノが家にある家庭でした。
ちなみに私の家は170強の住戸がある集合住宅、道路側から2番目の家です。鉄筋コンクリートで防音室の設置はしていない環境です。
その時点でおそらく今ではNGな状況でしょうが、当時のお稽古事といったらそろばん、スイミング、習字かピアノ、、、みたいな時代でした。そしてクラスの女子ならピアノを習っていない子は女子全体の1割程度くらいの(記憶の限り)、それほどに猫も杓子もピアノを習っている時代でした。なので割と、どこのご家庭にもピアノがあった時代でした。
また、幸いにも集合住宅でありながら私の家の四方のご家庭も吹奏楽部に所属しているお姉さんや、後に声楽で音大受験をされる年下の女の子、男の子3人のやんちゃ坊主を抱えるご家庭だったり、と絶賛子育て奮闘中のご家庭ばかりだったので、今ほど騒音?に対して厳しくない、大らかなご家庭ばかりの恵まれた環境におりました。私としては音だしは10時~19時の間に納めるようにしていました。そもそも、そんなに練習もしていなかったから聞こえる事も少なかったかもしれません(笑)

タイトルから若干、話が逸れてしまいました。
アップライトピアノが最初から家庭にあった訳ですが、当時はきっと電子ピアノの販売台数は今より圧倒的に少なく(当時はエレクトーンが同じ立ち位置だったか?)、バブルの時代も追い風となって楽器店もアップライトピアノばかりを販売していたと思います。でも当時でも価格は50万円台~200万台だったのではないでしょうか。ちなみに私に買い与えられたピアノは70万円台のピアノだったと後に聞きました。

今、大人になって考えれば自分の事とは言え、「凄く恵まれた環境じゃん!!お前はお嬢様か!」と突っ込みたくなります。が、当時私には権限も資産も主張も持ち合わせておりませんので、その点は私の意思でも判断でも行動でもなかった事をご容赦ください。

ちなみに我が家は父が有名どころでは無い出版社のサラリーマン、母は専業主婦というごくごく普通の家庭です。あと5才上に兄がいる4人家族です。ピアノを習い始めた頃、まだまだ父も管理職でも無く育ち盛りの兄と私を抱えた家庭で、70万もの代物を買おうとは今だったら考えられません、少なくとも私は。

ピアノを買おうと揺らぎのない判断を持っていたのは母でした。
私のピアノレッスンスタートに伴い、母はまず父に話しを持ちかけます。父は反対しました。
父→「子供の習い事で長く続くかもわからない事に70万もかけられない」
(私の心の声 うんうん、当然だね)

次に母は自分の実家の両親に相談を持ちかけようか考えましたが諸般の事情からこちらは交渉までには至りませんでした。

そして次にあたったのが私の祖父母、母にとっては義父母に相談しました。祖母は父と同じ理由で反対します。
母は諦めず、祖父に相談しました。

母→「せっかくお稽古事を習わせるんです。本物を使わせないと意味がありません。」
祖父→「あい分かった。いくら、いるんだ」

となったのでした。
当時の祖父は某観光地を走る登山電車の交通部門の役員で後に社長まで歴任する立場となる訳ですが、当時、覚悟も何もない私のお稽古ごとに無条件でピアノを買ってくれたのでした。私の生徒さんの何人かは知っていますが、その後に追加で購入した現在の教室にあるグランドピアノも祖父が買ってくれたものです。

母の想いとしては、本物を使わせる事で、習っていくうちに本人の自覚を覚悟が芽生えて、いつかピアノが私の人生にとって糧となり、自分自身を立ち行かせるものになってくれたらという淡い期待が込められていたそうです。そして、その考えに祖父も賛同してくれたようでした。

結果、今は母と祖父の想いが実を結んだ?形となりましたが、当の私自身はその想いに報いよう!というプレッシャーや強い覚悟をもって現在に至ったとは思っておりません。今でも不出来な、いちピアノ学習者な訳ですが・・・。

幸い、母も楽器を買ってもらったから!と私にそれを強いるようなことはしませんでした。
ピアノ購入にあたっての判断と行動を貫いた母は凄いなーと思います。

そんな母の想いを踏みにじって、購入して2年も経たずして私のピアノ噛みつき事件が起こります。
つづく。

ピアノの先生の本音~楽器購入編~

11月も最終週。紅葉が素敵な季節です🍂

さて、今日は賛否両論が出るであろう内容を書きます。(内心少しビビる)
将来、意見は変わるかもしれない。これまで私自身も葛藤が有ったような、無かったような。
でも、きっと私や生徒さんと同じように悩んでいるピアノの先生やご家庭があると思う。実際、友人知人家族から一番相談される内容ですし。なので、あえて現時点の意見を書きます。

ズバリ
「ピアノの先生は本物(アコースティック)のピアノをすすめてくるけど、電子ピアノじゃダメなの?」

です。

私は今聞かれたら、こう答えます。
「出来ればアコースティックが(中古でも)良いですね。」
「ただし、環境と予算があれば」と続けます。

おそらく教室や先生によっては、今の時代でも疑いもなく100%アコースティックをすすめる方もいらっしゃるでしょう。勿論、楽器店や調律師さんも。
アコースティックをすすめるには理由があるからです。

いろんな理由がありますが、私がお伝えする1番の理由はコストパフォーマンスが良いからです。「え?」と思われる方、多いでしょう。そうです、新品でも40万~100万(アップライトタイプ)を越すピアノで、なんでコストパフォーマンスが良いと言うか。習う方の技術力、表現力、タッチ、スタミナを習得するにストレートにレスポンスを返してくれるからです。そして楽器の耐久性と不要になった時にある程度のお値段がつきます。タ〇〇トピアノのCMが今でもよく流れるのは、そのせい?!

ここで、ストレートにレスポンスを返すという言い回しに説明を補足すると、電子ピアノはタッチや耐久性がまるでアコースティックのそれとは違います。例えばですが、ピアノの鍵盤に触れる時に10通りの力加減やスピード・深さで触れるとして、10色のグラデーションのある音色を再現できるのがアコースティックピアノだとすれば、10色分としての違いを表現しづらいのが電子ピアノです。これはあくまで個人の見解で電子ピアノだからと言って必ず全てがあてはまるわけではありませんが、力加減の調節と音のボリューム・音色のコントロールが連動しづらい点は弾く側にも楽器としての性能面からも見受けられます。なので近い将来、コンクールに挑戦したり、学校伴奏を希望する事を視野に入れている方には最初からなるべくアコースティックに触れてもらうようすすめます。そのような場面で本番で弾くピアノもアコースティックだから尚更です。

ただ!
習い始めたばかりの時にそんな事決めていますか?
これから先、何十年も続けられる!と確信を持ってはじめられますか?

答えはほとんどの方が「ノー」でしょう。
何を言おう、私自身がそんな事を考えてピアノを始めもしなかったし、続けていても他に優先する事があれば、いつでもピアノから離れるスタイルで続けてきました。

このご時世、バブルの時と違って将来の希望に思いっきり投資をするという時代ではなくなりました。社会の風潮も。そして何より、うちの教室でピアノ購入をご検討いただく多くの方が子育て世代のご家庭です。お子さんの未来が確定してないうちに、1つのスポットに大幅な出費をかけるのは正直厳しい所です。私が親でもそう思います。

そこで、意見が反対になりますがニーズを満たしてくれるのが電子ピアノなのです。
最近では電子ピアノも性能は良くなり、使い方によってはアコースティックピアノよりもアプリとの連動やメトロノーム・録音・ヘッドホン使用等の多機能を搭載しています。そして何よりお値段と設置場所がアコースティックピアノに比べてお優しいのです。

物事なんでもそうですが、それぞれに強み・弱みがありますよね。

なので、教室では生徒様の「お財布」・「環境」・「ニーズ」とよくご相談させていただいた上でご納得いただけるものをご提案しております。

結局はアコースティックピアノVS電子ピアノの決着をつけておりませんがお察しください。
私自身も大学時代、先生から「グランドピアノが無くちゃねぇ」と言われ肩身の狭い思いをしました。「んな事言われても!」と心の中でしょっちゅう叫んでいたのを覚えています。こればかりは家族の空間も巻き込むので親にも言えず、板挟みな時期を過ごしました。

ですので、講師視点としての本音はあっても、家族視点からは無理強いはしたくないものです。
どちらの視点も持ってご相談を受けるよう努めております。楽器だけでなく、ピアノレッスンで使用するアイテムについても疑問や不安があれば是非ご相談ください。