教室ブログBLOG

ふりゅーげる余話

指番号の勘違い

インフルエンザが大蔓延しております😅
今週から来週にかけて音楽会を控えている学校が多いです。なんとか開催されますように。

さて、今日はレッスンをしていて生徒さんが間違えて理解してしまう事のひとつをお話します。
本日のテーマは「指番号」についてです。

ピアノを学習していると、指の事は番号で呼びます。親指・赤ちゃん指などでは呼びません。
呼び方は以下の通り。

親指 or お父さん指 → 1ばん
ひとさし指 orお 母さん指 → 2ばん
中指 or お兄さん指 → 3ばん
薬指 or お姉さん指 → 4ばん
小指 or 赤ちゃん指 → 5ばん     です。

これは右手・左手いずれも同じです。
ちなみに上記の指使いをドレミファソに当てはめて文字に起こすと、

【左手】○            【右手】
ド レ ミ ファ ソ       ド レ ミ ファ ソ
5 4 3 2  1       1 2 3 4  5

しかしながら、導入期に5指の範囲で弾けるドレミファソを含む課題を連続して弾くと下記のような認識の入れ違いが起こります。

【左手】×             【右手】
ド レ ミ ファ ソ        ド レ ミ ファ ソ
1 2 3 4  5        1 2 3 4  5

何が起こっているかというと、ピアノの音が同じため指使いも統一されて同じ認識になってしまうのです。音が同じなら指番号も同じのが覚えやすいのでは、と思われるかもしれません。でも、これはあくまで導入期のお話。使う音が5音に限定されると、同じ数の指も混同して同じに思ってしまうのですね。これをそのまま引きずってしまうと、もっと多くの音が出てくる課題に取り組む時、困難をきたします。使う音が多くなれば当然、ドの音でも3や4の指を使う事が出てきますし、音の幅が広がれば隣の鍵盤を弾いても必ずしも隣同士の指を使うとは限らないことがでてきます。(むしろ、そちらのが多い)

覚え始めの時、後々の事を考え左右の指番号をぶれずに覚えられると良いでしょう。

ピアノ上達のためのピアノを弾く以外の事

二十四節気の今日は大寒❄1年で一番寒い日とされているようです。
寒さが大の苦手なので毎年、大寒などの季節の暦をひとつの区切りに気合を入れて乗り切っています。2月4日の立春の頃にはちょっと早い梅の花に出会えるでしょうか。

さて、最近生徒さんのレッスンにおいて時間を作って初見聴音を取り入れています。初見や聴音ってなあに?という方もおられるかもしれません。

初見とは 楽器の音は出さずに、初めて見た楽譜をその場で演奏する事。
聴音とは 奏でられたメロディやフレーズを楽譜に書きおこしていく事。

初見や聴音はソルフェージュという音楽を演奏していく上で求められる数ある基礎能力の一部を指します。他に視唱や聴奏なども含まれます。
いずれも従来のピアノの練習と違って練習をする取り組み方とは異なります。練習はしないでその場で取り組む課題ですが、これを訓練するとピアノの上達の大きな手助けとなります。

初見に取り組んでもたらされる効果は、読譜のスピードアップ。
聴音に取り組んでもたらされる効果は、耳の性能アップ。

だと個人的に考えます。

中学生以上から社会人の方はお時間に制限があるため、どうしても譜読みに時間がかかる傾向があります。けれど初見の訓練をする事によって短い時間の中で全体像を捉える訓練を積み重ねていきますから自ずと読譜のスピードがあがるようになるのです。

また聴音においては、最近よく生徒さんのレッスンをしていて疑問に思う事に「間違った音を鳴らしているのにおかしいと思わないのかな?」という事でした。ピアノの楽曲は単一の音でなく複数の音の重なりによって音楽が紡がれているわけですが、その複数の音のチョイスはやみくもな組み合わせではなく、同時に響かせて綺麗なハーモニーを生み出す組み合わせになっているのです。また、音の長さに関しても「あ」「あー」「あーーーー」では違います。活字にすると良く分かると思うのですが、目に見えない音となると意外と皆さんここまで気づく事が出来ないのです。

普段のレッスンでは、既に印刷されて出来上がった譜面を見てアウトプットする方向ですが、聴音は奏でられた音を白紙の譜面にデータを作成していく作業です。物事は片側の側面からでなく反対側からも取り組むことによって、その全容を捉える事が出来ると私は考えております。

慣れないと取り組んでいる生徒さんは大変な様子ですが、狙いとしては曲を完成するまでの時間の短縮化と効率化です。
ぜひ、この能力を自分の能力としてインストールして役立ててもらいたいと願います。

ピアノ購入を検討されている方へ【購入店舗編】

今週末はいよいよ12月☆彡
2017年もアッという間に過ぎていきます。

さて、前回「ピアノ購入を検討されている方へ【ピアノのタイプ編】」を綴りましたが、今回は【購入店舗編】です。久しぶりに私自身が店舗を回ってみたり、お教室の生徒さんに聞いてみると主に以下の3つになるようです。

(1)家電量販店
(2)大手楽器店
(3)個人楽器店

3つを比較するとピアノの値段自体はそんなに大きな差はありませんでした。
でも、それぞれに特徴があるようなので具体的な違いは以下に。

(1)家電量販店
まんべんなく各メーカーを取り揃えている店舗もあるが、若干偏りがある。ポイント還元等でキャッシュバックが見込めるが配送料が別だったりアフターサービスが行き届いてない事もある。

(2)大手楽器店
楽器メーカーが製造している電子ピアノをメインに幅広い値段の機種を取り揃えている。フェア期間中だと安く購入出来たり、一定レベル以上の機種だと配送料・設置料をサービスしてくれたりもする。たまに型番が落ちたもの、現品処分品などで大幅にディスカウントされたものもあるが安い品だと配送料が別にかかったり、設置に際しては別業者に委託されている事もあるので配送当日にトラブルになる事も。アフターサービスは家電量販店に比べると手厚い。購入の際によく確認すると良い。ただ、どうしても値段の高いものを薦められる事が多い。

(3)個人楽器店
楽器のディスカウント率、付帯サービスなど交渉により大手楽器店と同等かそれより小回りの効くサービスをしてくれる場合も。店舗スペースの大小により取り扱い楽器の種類に限りがあることも多いが一番顧客目線で接客してくれるように思う。アフターサービスも請け負ってくれる。

購入される方それぞれに重視するポイントは異なりますが、楽器は長くお付き合いする事が大前提です。もちろん安いにこしたことはないと思いますが、長く使うものだからこそ値段の中には楽器としての性能だけでないものが含まれていると考えてください。
実際、ここに記載させていただいた内容には生徒さんの困った、という声も反映してまとめております。楽器に不具合があってはレッスンも楽しく受ける事が出来ません。

皆様がご自身にとって納得のいく楽器と巡り合えることを願って。

ピアノ購入を検討されている方へ【ピアノのタイプ編】

11月も下旬に入りクリスマスイルミネーションが街を彩る季節となりました。

先日、教室の生徒さんがピアノ購入を検討しているとの事で私用で都内に出たついでに久々に楽器店&家電量販店に立ち寄りました。いやはや、携帯電話までとは言いませんがピアノのマーケットも随分変わっているんですね💦

自分の認識がグランドピアノを購入して以来、停止していたのでリニューアルする良いきっかけでした。ピアノは安いお買い物ではありません。お教室の生徒さんのお話も取り入れながら、新しく仕入れた認識をまとめてみました。

まず、ピアノのお稽古に通われている方で使用している鍵盤楽器は主に3つ。

(1)キーボード
(2)電子ピアノ
(3)アコースティックピアノ

それぞれの特徴を見ていくと、、、

(1)キーボード
価格は1万~5万前後。最も求めやすい価格だがペダルが別売り、鍵盤数が88鍵以下、鍵盤のタッチが軽いなどレッスン室や本番の際に使用するピアノと条件がかけ離れているのが難点。長くレッスンを続けていると途中で買いなおす方もいる。

(2)電子ピアノ
価格は10万~100万前後。今、国内で最もシェアがあるタイプ。アコースティックピアノに比べて求めやすい価格。多機能である事も魅力のひとつ。
・ヘッドフォンを使用してサイレント演奏が可能(朝早く、夜遅くでも弾ける)
・何種類かのピアノ、他楽器の音色を選んで楽しむ事が出来る。
・メトロノーム搭載。ただし機種によって速度表示が分からないものもあるので注意。
・録音機能搭載。練習に反映させることが出来る。

難点はタッチの変化を音色に反映できない事。
しかし最近はそんな問題も解決できるハイブリッドピアノなるものも販売されています!電子ピアノなのにアコースティックピアノと同じアクションを搭載しております。言うなれば電子ピアノとアコースティックピアノをいいとこ取りしたようなピアノ。こちらはやはりどのメーカーも30万以上からの価格です。

(3)アコースティックピアノ
価格は中古でも30万くらいから。最近はアップライトでも新品で本体価格39万というものもありますが上のクラスは100万を越えるものもあります。新品のグランドピアノはだいたいセダンタイプの国産車(200万前後~)と同じくらいになります。
コンクールや音楽学校進学など本格的に勉強される方には必須のタイプです。タッチによって音色を変えられ、まさにフォルテピアノのダイナミクスを体現できる楽器です。上手に使えば100年近くは使えます。お酒と同じで上手に手入れをしていけば深みのあるなんとも言えない音色を醸す事が出来ます。こちらのタイプをご使用の生徒さんはご親戚が使わなくなったもの、ご家族の誰かが昔使用していたものなど受け継いだものを使われている方が多いです。新規に購入される方は殆ど中古で購入されます。

難点は価格が圧倒的に高い事。また、置き場所に困る事。搭載は出来ますがサイレント機能が基本的にはついていない事。など近年の住宅事情には、やや適さないのが悲しい問題点です。

今回はピアノのタイプについてお届けしました。
次回は購入店舗、見えない落とし穴について記載します。

ピアノを習って得た副産物

3連休の中日、秋晴れの爽やかな日和となりました。
いつもは教室や生徒さんとの出来事を綴る事が多いですが、今日は自分の事を振り返ってみようと思いました。

最近、年齢を重ねるほどにピアノを学んできて良かったな、救われたな、と思う瞬間がよくあるのです。それはピアノを弾く技術が上がったとか、念願の曲が弾けるようになったとかそういう事ではないのです。

綺麗ごとではなく良かったなと思う点は、

1、美しい物への追及・継承
2、世界観が広がる
3、セルフメンテナンス

です。いずれもの子供の時には見えなかったことでした。

大人になって少しずつ経験を重ねてくると、生きる事の大変さ、自分の采配だけでどうにもならないようなシチュエーションに直面する事はままあります。そんな時、思考や感情はマイナスに振られがちになりますが、ピアノが持っているパワーと言いますか、ピアノに限らず打ち込める何かがあるとそれが全てプラスの動力の源になっている事を感じます。色々あるのですが特に念頭に上がったのが上記の3つでした。

また、綺麗ごとではなく苦労をして得てきた事もありました。
それは、

1、忍耐
2、コミュニケーション力
3、つじつま合わせ力

最初は楽しく始めたピアノですが、曲の難易度が上がったり練習時間の配分が上手く出来ないようになると辛くなるものです。そんな時はいつも葛藤でした。義務教育でもありませんでしたし、投げようと思えば辞められたと思いますが続けてきた事は本当に、今の社会を渡り歩いていくのに大いに役立っているのは間違いありません。義務教育の範疇でなかったからこそ、自分で言い出したことは最終的に自分でケツを持つ!というのを身をもって叩き込まれました。最近は自分の事を棚にあげて他者に責任転嫁をするような風潮が目立ちますが、その考えでは自己の中での根本解決はいつまでたっても辿り着けないと思うのです。全てとは言えませんが忍耐や物事の順序を知る事は自己解決の一手段ともなりました。

つじつま合わせ力は私の造語です。学生時代、毎回のレッスンは成果を出していないと一気に恐怖のレッスンに変わりましたから、仮に練習を十分に準備出来ていなかったとしても何とかその場を乗り切らねばなりません。ピアノでどうにか出来るところはどうにかし(大抵小手先のごまかしは見破られますが何もしないのが一番マズイ)、ピアノでどうにもならない時は先生の注意を他に向けたりして無い知恵を回しました。
このシチュエーションにおいては練習していれば済む問題ですが、仕事となると予測不能な事態になる事もよくあります。そんな時、まごまごして手をこまねくよりも結果に結びつかずとも何とかその場をやりきる!という対処が出来るようになりました。

一芸にひいでる
芸は身をたすく

等の言葉がありますが、一つの物事を貫き通す事はあるゆる物事の対処する能力が身に付き(トランプで言うとジョーカーのような)、身に付いた能力で己自身が救われているというのは正に実感として手ごたえがあります。

お稽古との付き合い方は皆さんそれぞれの形があると思いますが、是非ピアノが上手になる事に加えて皆様の何か助けとなりますればこの上ない喜びとなるでしょう。

楽譜の出版社

皆さんがピアノのレッスン時に欠かさず持ってきていただくアイテムの楽譜。
普段、何気なく使っていただいているかと思います。ここでちょっとこばなし。

私も音大受験の準備を始めるまでは、ほぼ100%日本の出版社の楽譜を使用してレッスンしてまいりました。私が子供の時は、音楽の友社、全音楽譜出版社、ドレミ楽譜出版社のいずれかを中心に使用していた記憶があります。今ではkmpやリットーミュージック、シンコーミュージック、ヤマハなど沢山の出版社の楽譜を目にするようになりました。以前に比べ、様々なジャンルの音楽が楽譜化され幅広い年代の方々にピアノを楽しんでいただいてるのだな~と感じます。

バンド譜やポピュラーミュージックには明るくないのですが、クラシック音楽を勉強する際には作曲家によって出版社を選別するという事を受験準備期に初めて知りました。ベートーヴェンやバッハなら青い表紙のヘンレ版、シューベルトなどは赤い表紙のウィーン原典版、シューマンならクマのマークのブライトコプフ版、ショパンならパデレフスキ版あるいはコルトー版など。

何故作曲家別に出版社を選別するかというと、いかに作曲家本人の解釈に忠実であるか、もしくは作曲家のそのままの原稿の著作権利を出版社が持っているかに関わるのです。

もし、きっかけがあれば一つの曲の譜面を複数の出版社の譜面で見比べてみると面白い発見があるでしょう。同じ曲なのにスラーやスタッカート(奏法の事)、あるいは♯(シャープ)や♭(フラット)の臨時記号の記載が違うかもしれません。どうして、こういう事が起こるかというと昔は楽譜の保管環境が整っておらず、出版社という業務形態も今のように確立されていなかったので譜面が散り散りになっていたり、作曲家の死後に発見されたなどがあって研究家の考えや、人づてに伝わった解釈で様々な一つの曲でも様々なバージョンが残されるようになったのです。

現代のようにクラウド上にデータを管理して、なんて事だったらこんなことはなかったかもしれませんね。でも、それが逆に色んな奏法や解釈を生み出し、決まられた枠内であっても、その中に個性を活かせる余白があることは素敵なことだと思います。

外国の楽譜を手に取って感じた事のひとつに、日本の製本技術はなんて素晴らしいのだろう!というのがありました。日本にいれば珍しく思わないと思いますが、日本で売られている楽譜は大体が表紙・裏表紙にビニール?コーティングが施されており、用紙も厚くなっているから多少濡れたくらいでも乾かせば問題なく使えます。そしてすぐには破けません。加えて臭くない(笑)

高校生の時に使用したヘンレ版は製紙の技術が今一つだったのか新品の時は譜面を開くとなんとなく肥しの匂いがしました。本当です!!おそらく私と同世代の方は身に覚えがあるはず。今はどうかわかりませんが、その当時は本当に船便で届く輸入品だったので円高・円安の影響も受け値段もかなり変動していました。しかも表紙はペラペラの紙だったのでもろいし、すぐに破けて残念でした。

最近では地道に日本の出版社が海外出版社のライセンスも入手していっている事で、内容は海外版と同じでも日本の技術が光る製本状態でお値段も安く求められるようになった事には感謝です!

もし楽器店で楽譜を購入することがあれば、そんな事に思いを馳せて手に取ってもらえたら光栄だな~と思います。